災害の教訓を日本の防災へ。ソーシャルイノベーションフォーラム2017レポート

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災害の教訓を日本の防災へ。ソーシャルイノベーションフォーラム2017レポート

2018.01.23

11月17日から3日間にわたり東京国際フォーラムで「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」が開催された。
国や企業、研究機関などが垣根を超えて社会課題の解決に向けて意見を交わすこのイベントは、他にはない登壇者のラインナップが毎年見どころとなっている。
18日のプログラムには「災害大国ニッポン ~過去の災害からの教訓~」と題した分科会プログラムが開催され、震災を経験した大西一史熊本市長と菅原茂気仙沼市長、大規模震災が予測される静岡県の川勝平太知事が登壇した。
大震災を経験した街のリーダーの教訓を共有する貴重な機会となった。

司会を務めたのは東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦教授。実践的な防災学を展開している津波研究のトップランナーだ

さまざまな自然災害が繰り返し発生する日本において、災害の教訓はなかなか広く伝わっていないという問題意識から設けられたこのプログラムは、「1日前プロジェクト」「南海トラフ地震」「事前復興計画」という三つのテーマにそって進行された。

大西熊本市長は1995年に阪神大震災が発生した時、官房副長官の秘書として総理官邸にいた。
機能不全に陥った官邸の中で、総理官邸に現場の情報がまったく入ってこないという状況を経験していたため、熊本地震が発生した際も現場の情報は入らないということを直感していたという。
「東日本大震災の時も、すぐに被災地に足を運び、沿岸部を中心に回らせていただきました。被災地の状況を肌で感じていたことはとても意味があったと思います。」
その後、地震のリスクが比較的低いとされていた熊本市の市長に就任したが、2年目の春に熊本地震に襲われた。

「もし震災の一日前に戻ることができるなら、すぐにテレビに出て、熊本にも地震は起こるということを伝えたいです。明治22年にも熊本で大きな地震が起きているのですが、100年経つと人々の記憶から災害はなかったことになってしまうようです。」
そして、自ら震災を体験したからこその具体的なエピソードを続けた。
「残念ながら行政は市民のみなさんのことを完璧に助けることはできません。寝室には倒れてくるものをなるべく置かない。僕のようにメガネを掛けている人は、予備のメガネを用意しておくなど、自分の命を守り、災害弱者にならない準備をぜひしておいてほしいです。」

菅原気仙沼市長も災害に対する意識の麻痺について話す。
「もし、東日本大震災の前日に戻れるなら、明日の津波警報は本物です!ということを伝えたい。気仙沼では津波警報は結構出るのです。それに慣れてしまっていたため、逃げることができなかった。空振りしてでも、警報が鳴るたびに逃げるという習慣をつけることが必要です。」

静岡県は東日本大震災では岩手県を、熊本地震では熊本県嘉島町を支援してきた。川勝静岡県知事は災害に関する教訓を共有する方法について考えを語った。「静岡県はもう40年以上前から大震災や津波の危険性が叫ばれてきました。私たちは被災してしまった地域を積極的に支援することで、助けながら学んでいるのです。救援することで防災力を高めていくということは全国の自治体にとって必要なことだと思っています。」

来場者も参加する防災クイズを出題しながらプログラムは進行された

被災地の支援を通じてノウハウを蓄積してきた川勝静岡県知事は南海トラフ地震に対する備えについて、受援力の大切さを強調した。
援助はする側と受ける側の準備が揃って初めて機能するものです。援助を受ける場所を事前から決めておくなど、援助を受ける方法を具体的に想定しておくことはとても大切だと考えています。」

川勝静岡県知事の話を聞きながら、大西熊本市長は苦い表情をのぞかせた。熊本地震においても、受援体制の不備が支援の鈍化につながってしまったという。
「政府や全国のみなさんからたくさんの物資を送っていただきました。ただ、その大量の物資をどう捌いて被災された方々に届けるかという計画が足りていませんでした。スペースや人員の確保が追いつかずに、水や食料を積んだトラックが積荷を下ろすのに8時間待ちということもありました。NPOや企業と連携して、事前に受援計画を立てておくことを今すぐすべての自治体で行っていただきたいです。」

復興とは災害前よりよい街にすること。経験に基づくそれぞれの想いが熱く語られた

最後のテーマで、大西熊本市長は復興への想いを語った。
「これは熊本城の天守閣から落ちた瓦です。熊本城は1607年に築城されてから、崩れる度に何度も市民の力で再建を繰り返してきました。石垣が積み上がるまであと20年かかるといわれていますが、復興城主にはすでに8万人が集まり、日本財団からもシャチホコを寄贈いただくなど、力を合わせて前進しています。復興のシンボルである熊本城を見ながら、自分たちの生活を復興していく前向きな気持ちが必要だと思っています。」

「Build Back Better」の精神で、前より良い街をつくるために、地域コミュニティを新たに再構築していくという視点が大切だと大西市長は話す

プログラム終了後、大西熊本市長に感想を聞いた。
「残念ながら行政がすべてできるわけではないんです。行政が上から目線でものを言うのはやめて(笑)平時から市民のみなさんと協力しながら防災に取り組んでいくことが大切です。今日もこのイベントでたくさんのソーシャルイノベーターと交流することができました。こういう機会をたくさん作っていって、色んな人たちと顔見知りになっておくことが大切ですよね。結局は人と人とのつながりですから。」

そして、別れ際に教訓を伝えていくための今後の計画について話してくれた。
「熊本市として熊本地震の記録誌をまとめています。できたこと、できなかったことをすべて全国の皆さんにお届けして、熊本地震を日本の防災につなげていきたい。」

防災にも復興にも、近道はない。人と人とが交流し、アイデアやノウハウを伝えていくことが日本の防災をより強いものにしていくはずだ。今後もジャンルを超えた横のつながりをつくりだす試みに期待したい。

文章・撮影:柳瀬武彦

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