支援のニーズはまだ、確実にある。〜1年が経った被災地・益城町の現状①〜

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支援のニーズはまだ、確実にある。1年が経った被災地・益城町の現状①

2017.04.11

熊本地震から、もうすぐ1年。
必要数の仮設住宅は完成し、インフラの復旧工事は一歩一歩と進んでいる。地域の風景でいえば、損壊した家屋の解体、撤去が進み、更地が増え、風景はずいぶん変わってきた。一方で、被災した住民たちの暮らしや心持ちは、どんな状況なのだろうか。
地震から1年が経った被災地の“リアル”を知るために、昨年6月に本サイトで取材をさせていただいた益城町上陣区長・廣田律男さんを訪ねてみた。

「よく来たね。さぁ、上がって、上がって」
笑顔で迎えてくれた廣田さん。昨年の取材時は、家が損傷していたため、軒先で話を伺ったが、今年3月に修復が終わったということで、今回はお言葉に甘え、お邪魔させていただいた。

地震で傷ついた家や地域を写真に撮り、記録していた廣田さん。そこには生々しい傷跡が写っていた

地震により屋内の壁は割れ、玄関土間には大きな亀裂が入り、家は15㎝ほど傾いたという廣田さんの住まい。昨年7月に業者へ工事をお願いするも、実際に工事が始まったのは今年3月。11ヵ月ほどを傾いた家で生活し、「何だか酔う感じがして、気分が悪くなって。きつかったですね」と奥様。家屋の低くなった方をジャッキで起こし、基礎と建物の間に詰め物をして水平に戻すという工事を行ったという

家の修復が済んだ現在、生活はずいぶん落ち着いてきたという。さらに、自治体の指導のもと、地域に「まちづくり協議会」が発足し、住民と民間企業とで地域について考える場が4月からスタートするなど、「復旧」から「復興」へとステージは移ってきているように感じた。

地震直後に地区の全世帯の安否を確認して回った廣田さんは、地区の現状についてもすべて把握していた上陣地区には地震前は54世帯があり、現在居住しているのは34世帯。20世帯が減ったという。
「地域の雰囲気はずいぶん変わりましたよ。特に夜は、灯が少なくなった。小学校の近くは、地震前は11軒の家があったのに、現在は3軒しか住んでいない。人が転出すると、地域活動や活気、防犯の面などで心配ですね」と廣田さんは今後の地区の在り方に頭を悩ませていた。

色分けするなどして、地区住民の現状を資料にまとめていた廣田さん。20世帯の移転先は、津森仮設団地が4世帯、テクノ仮設団地が3世帯、みなし仮設が3世帯、町外への転出が3世帯、お子さんの家に行かれたのが3世帯。さらに、場所は分からないが、どこかの仮設に行かれたり、地震後に亡くなられた方もいるそうだ。また、上陣地区では住宅14軒が損壊し、うち10件の解体が完了したという

もうひとつ、頭を悩ませていたのが地域の安全性の確保である。廣田さんの家の前には川があるが、昨年6月21日の大雨で氾濫したという。さらに、近くの山では土砂崩れも発生した。
「地割れしたところに雨水が入り、土砂崩れにつながりました。県が応急処置をしてくれましたが、梅雨を迎える前に補修工事をしないと心配です。地区内には危険な場所がまだまだあり、上陣地区に“帰ってきたい”と思っている人たちも、ここが安全だと思えなければ、戻って来るのは難しいでしょう。だからこそ、早く復旧工事をしてほしい。でも、役場からは“工事業者がいない”といわれる。各個人の生活は復旧してきましたが、町全体ではまだまだといった印象です」。

まだ地震の爪痕が残ったままの川

木が倒れているところが、土砂崩れを起こしたところ。民家のすぐ裏手なので早急な対策が必要なのだが、手が回っていないのが現状

地域住民が減少し、行政の支援も十分とはいえない。そんな中、「頼りになる人物がいる」と、廣田さんがある男性を紹介してくれた。ボランティア団体『支援の「わ」』代表の堀内正訓さんだ。
廣田さんによると、上陣地区の家屋には応急危険度判定(※1)の張り紙がなかったそうだ。そのため、屋内でボランティア活動をする場合に「建物の安全性」を重視する益城町災害ボランティアセンターは、上陣地区に派遣ができない状況だったという。そんな時に、個人でボランティアに来て、長く支援してくれたのが堀内さん。「今や地域に欠かせない存在」と廣田さんは信頼を寄せる

熊本地震発生後、滋賀県からボランティアに駆けつけたという堀内さん(右)。現在は津森仮設の一角に場所を借り、テントとプレハブを建て、そこで生活しながら地域に寄り添った支援活動を行っているという

堀内さんも最初は益城町災害ボランティアセンターで活動していたという。
「ある時、断っているニーズがいっぱいあることに気付いたんです。それが、応急危険度判定が実施されていない家屋や危険判定の出た家屋での作業。そこで、昨年810月は個人で上陣地区の支援活動を行いました。現在もボランティアセンターではできない支援活動を、“被災者に寄り添いたい”という価値観を持つ人たちと一緒にやっています。それが『支援の「わ」です』」と、これまでの活動について教えてくれた。

4月に熊本に来てから、わずか2回しか滋賀県の自宅に帰っていないという堀内さん。1年に渡り被災地で支援活動を続けてきた今、多くの人に訴えたいことを聞いてみた。
“まだまだボランティア活動のニーズはある”ということです。ボランティア活動ができる場所や、受け入れている団体を知らない人が多い。そのため、ボランティアセンターで受け付けてもらえないと、“もうボランティアはいらないんだ”“熊本は復興しているんだ”と思ってしまう。僕らはそれをいちばん危惧しています。だからこそ、フェイスブックなどを通じて“まだボランティアが必要だよ、まだ活動を続けているよ”という情報の発信を大切にしています」と、堀内さんは見えにくくなっているボランティアの現状に警鐘を鳴らす

4月22日(土)、益城町災害ボランティアセンターが活動を終了する。しかし、堀内さんは「まだまだニーズがある」と強く訴える。支援の手を求めている人は、まだ確実にいる。1年が経った今、被災された人たちと、ボランティア活動をしている人たちの“リアル”を見つめることは、必ず次の一手へとつながるはずだ

※1:大地震により被災した建築物を調査し、その後に発生する余震などによる倒壊や外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定し、二次的災害を防止することを目的としたもの。赤(危険)、黄(要注意)、青(調査済)の紙が危険度に合わせて建物に貼られていく。

いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:長谷和仁

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