活動開始から1年、福岡のスタートアップシーンを活性化させた“仕掛け人”が語る、福岡スタートアップの課題と未来への展望

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福岡発のベンチャー投資ファンドとして平成28(2016)年4月に設立され、積極的な活動で福岡のスタートアップシーンを盛り立てている「F Ventures」。代表の両角将太(もろずみ・しょうた)氏は、地元・福岡から早稲田大学に進学し、在学中にIT起業家の支援をするサムライインキュべートにジョイン。東京でのスタートアップシーンの隆盛に関わり続けたのち、新たな波を福岡で起こすべく、去年より活動を続けています。

これまでの1年弱の活動を振り返りながら、今の福岡のスタートアップシーンにおける課題や、これからの展望について伺いました。

--まずは、F Venturesの始動から現在(平成29年2月末時点)までを振り返った感想を聞かせください。

両角 この1年弱で急ピッチに活動を展開し、それなりに機会を提供できた実感はあります。投資に関しては現段階で7社、そのうち福岡を拠点にしたスタートアップは3社に投資しています。投資規模は1社あたり、5001,000万円程度。また、大手企業や行政と連携し、スタートアップを発掘する「フクオカ・スタートアップ・セレクション2016」や、日本アイ・ビー・エム主催の「イノベート・ハック九州」などイベントもさまざまに展開してきました。さらに、起業家に必要な能力を育成するためビジネスモデルの勉強会やスタートアップのためのファイナンス講座、広報講座なども実施。また起業に対するハードルを下げるために、起業への具体的な準備の仕方、ピッチやハッカソン、VC(ベンチャーキャピタル)とスタートアップのマッチング、起業した後のPR活動の支援などを行ってきました。キーワードは“ハンズオン”でのサポート。起業家にはプロダクト(アプリやWEBサービス等)の開発に集中してもらうために、それ以外の部分を我々がサポートすることをテーマとして活動しています。

――1年弱活動を続けてきて、福岡の現状をどう感じていますか?

両角 福岡は創業特区の波を受けて、確かに起業家の数は増えてきてはいますが、当初想定していたよりもまだまだ少ないというのが実感です。前回のインタビューでもお話ししたように、スタートアップ都市としての福岡のポテンシャルは高いと感じていますし、法人減税やスタートアップビザなど、福岡市の施策によって起業しやすい環境も整ってきています。ただ、本来のポテンシャルを考えれば、もっと目に見える“結果”があってもいいはずなんですが、そうなっているとは言い難いと思います。それだけに「もったいない」と感じますね。

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--福岡には「何か」が足りていないということでしょうか。たとえば福岡のスタートアップエコシステムに足りていない部分はどういった点ですか?

両角 ひとつ思い当たるのは、グローバルな視点ですね。これは、福岡の問題というよりも、福岡の人たちが捉えるスタートアップの“定義”の違いかもしれません。シリコンバレーを中心としたスタートアップシーンにおいて、「スタートアップ」という言葉の意味は、「今までにないビジネスモデルで世の中の課題を解決し、社会を変えるもの」です。常識を疑い、時には痛みを伴うような改革を、テクノロジーの力で実現し、社会にドラスティックな変革をもたらす。GoogleもAppleもFacebookも、そういう存在です。

--仰る通りかもしれませんね。

両角 福岡では、「起業=スタートアップ」といったように個人事業も含まれる捉え方をされていて、短期的な安定や目先の利益を追求することを目指している場合がよく見られます。本来、社会を変えるようなスケールを持つスタートアップは、最初の数年間は赤字であることが多いです。社会の課題や非効率を解決し、人々に必要とされているサービスであれば、お金は後からついてきます。スマートフォンのアプリで言えば、最初は課金せずに無料でリリースして、サービスの質を追求し、ユーザー数を広げていく必要があります。それが、地方のビジネスの場合、最初から利益を出すビジネスモデルにこだわりすぎているように感じます。一地方都市として従来通りのビジネスをするのであればそれでもいいのかもしれませんが、スタートアップ都市を掲げているのであれば、これまでのビジネス手法とは異なるアプローチをとる必要があります。

--そこに目を向けてこそ本当の課題が見えてくるのかもしれませんね。

両角 そう思います。それからもう一点、ぜひ伝えておきたいのは、ファイナンスに対する知識の必要性です。まだまだ融資と出資の違いを理解できていない方が多いです。スタートアップの場合、最初からは利益があがらないことが多いため、融資が得られない事例が多く存在します。しかし、我々のようなベンチャーキャピタルやエンジェル投資家にとっては、現時点で利益があがっていなくとも数百万数億円の出資をします。起業する上で、出資という資金調達方法があるんだということを知っていただきたいですね。また日頃、さまざまなスタートアップから投資相談を受けていると、資本政策で失敗している事例を目にすることが少なくありません。例えば、最初の資金調達で3040%の株式を外部株主に取得されてしまっている例などです。資本政策で失敗すると後戻りできないため、ファイナンスの知識に関する必要性は何とか地方でも啓蒙していきたいと考えています。スタートアップへの投資に関わる方はぜひ『起業のファイナンス』という本を読んでいただきたいです。資金調達に成功している方は必ず読んでいる、スタートアップのバイブルなので。

--スタートアップとは何なのか、そしてファイナンスの知識など“基礎”を知ることが大切なんですね。福岡にいながらにして、本当の意味でのスタートアップ…つまり視野を広く持ち、スケールの大きなビジネスを手がけるには、どうすればいいとお考えですか?

両角 もっともっと世界に出て、世界を見てくることではないでしょうか。すぐにでもできそうな事としては、SLUSH(スラッシュ)やSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)など毎年海外で行われる大規模なスタートアップイベントに参加してみるといいと思います。そこまで費用をかけられない方は、3月末のSlush Tokyo 2017や4月後半のSAMURAI ISLAND EXPO'17など、国内で開催されるグローバルなスタートアップイベント等に参加をしてみるとか。よく言われることですが、世界のスタートアップ企業の多くは、人種も国籍も混じり合った混成チームでビジネスを発想していますから、課題の設定もその解決も、当たり前にグローバル。言語にも地域にも縛られない、世界標準のサービスをいつも考えています。一方で、日本のインターネット人口は1億人程度なので、世界のインターネット人口30億人のわずか1/30。それでは、日本でいくらトップシェアが獲れたとしても、世界への影響力はごく限られたものです。だからもっと英語圏の動向やトレンドを知り、多様性を受け入れていくべきだと思います。福岡は素晴らしい街ですし、僕もこの街で育った人間として誇りを持っています。ただ、それは僕が東京であったり、他の世界の都市を見てきたからこそ、より強く感じられたこと。他所を知ることで、福岡の本当の素晴らしさを知ることができると思うんですよね。 

--なるほど。ちなみに両角さんの仰る、福岡の本当の素晴らしさであるとか、街としての優位性、とはなんでしょうか?

両角 スタートアップという観点から言うのであれば「若さ」です。福岡には大学が多く、優秀な学生が多くいることは大きな強み。56年前に起こった東京のスタートアップブームの背景のひとつには、数人の学生たちから始まったムーブメントがあると思っていて、彼らがブームを牽引して社会人にも飛び火しました。当時学生だった私は、同年代のスタートアップの姿を間近で見てきて、とても刺激を受けたんです。学生のうちは、まだ考え方も柔軟で、勢いがあり、支えなければいけない家族も大抵いない。言うなれば、失敗しても怖くないんです。一方で、学生が起業するのは社会的なインパクトがあるので、周りに支えてくれる人も出てきますし、そんな学生たちが身近にいることで、「自分にもできるはず」と思う学生たちが、さらに増えていく。そういう相乗効果が“波”を生むんです。そういう意味で、福岡は波が起きやすい街だとも言えます。

--あらゆるブームが若い人から生まれるように、スタートアップの波も若い人から起きるものだということですね。

両角 そうなんです。若い力の瞬発力はすごくて、それは世の中を変える力にもなります。少なくともデジタルツールに関しては、大人よりもはるかにリテラシーが高いですしね。僕なんかも最近、若い人とそういう話をしたり、サービスの話をしていると、29歳にして「ついていけてないな」「おじさんになったな」と感じることが多々あります(笑)。そこは潔く認めつつ、でも自分にできることをやっていかないといけない。

--そうですよね。今後、そういった若い力を盛り立てていくために、福岡の“大人”はどうすれば良いと思いますか?

両角 可能性のある若者に、機会をどんどん提供していくことでしょう。「若いからまだ早い」ではなくて、積極的にチャレンジさせること。そして、失敗に対して寛容であることですね。一度失敗したら、さも借金地獄かのようなイメージを持っている学生も多いので、そういうところから丁寧に誤解を解いていかないといけません。もちろん、大人である我々自身が、失敗を恐れないことも大切。チャレンジする大人の背中を見て、若い力も成長していくと思いますよ。

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福岡の街を盛り上げたいからこそ、福岡の課題も丁寧に語ってくれた両角さん。若い力への機会の提供として、3月18日(土)には「TORYUMON(登竜門)」という、起業を考えている学生向けのイベントを開催。スタートアップやベンチャーキャピタリストとして活躍されている豪華登壇者を数十名揃え、ロボットやIoTなどの展示、さらには、九州や西日本の学生起業家たちによるピッチコンテストも用意されています。ピッチコンテストの優勝者は、3月末に東京で開催される「Slush Tokyo 2017」へも参加できるのだとか。スケールの大きなビジネスを発想する若い力を福岡から育てていく活動に注目していきましょう。

【プロフィール】
両角 将太(もろずみ・しょうた)
昭和63(1988)年、福岡生まれ。F Ventures LLP 代表パートナー。福岡大学附属大濠高校を経て、平成23(2011)年に早稲田大学政治経済学部を卒業。メディア運営がきっかけでサムライインキュベートに大学生インターンとして参画、その後正社員として入社。平成24(2012)年、コワーキングスペースSamurai Startup Island(SSI)のマネージャーに就任し、管理人として、SSIの管理やイベント運営、広報としてプレスリリースやメディアとの連携、投資先の広報支援を担った。また、「堀江貴文サロン」の立ち上げに寄与。平成27(2015)年、社内起業家として、アクセラレーター事業を立ち上げ、サムライにおける投資以外の周辺事業を築き上げた。平成28(2016)年、サムライインキュベートを卒業し、福岡を拠点としたベンチャーキャピタルF Venturesを設立。


【関連イベント】
TORYUMON
http://toryumon.f-ventures.vc/

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