“生活の中のお茶”から“楽しむお茶”へ。新しい価値を提案する「製茶所山科」

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今年3月、福岡県朝倉市甘木にワインセラーならぬ“リーフセラー”をしつらえた製茶所『製茶所山科』が新たに誕生しました。
地域に根ざしたお店『山科茶舗』が、創業55年目を迎えたいま、店舗のリニューアルだけでなく店名・商品などブランディング全般を見直して『製茶所山科』に生まれ変わった背景とは。製茶所山科の代表であり茶匠の山科康也さんにお話を伺いました。

“楽しむお茶”という新しい形

製茶所山科の代表であり茶匠の山科康也さんは、どのような思いで大掛かりなリブランディングに踏み切ったのでしょうか。

山科さん:「お茶の専門店と言いながら、お客様の心をくすぐるお店、お茶は面白い、お茶って楽しいと思えるようなお店が今まであったでしょうか。お茶をよく知り、楽しんでもらい、お茶のファンを増やす。そんなお店をつくりたい!との思いから新しい店、商品づくりをスタートしました」

山科さん:「1962年の創業以来、お茶ひと筋に商いを続けてまいりました。生活の中、食事になくてはならない飲み物であったお茶は食の多様化、核家族化によりほかの飲料や、ペットボトルにその場を奪われつつあります。今まであった『生活の中のお茶』という日本茶の形は、次第に現代へ適用した形へと変化していますが、『楽しむお茶』という新しい形が今から生まれるのではないかと楽しみにしております。日本茶には色々な味、香りがあることをご存知でしょうか?コーヒーではわずかな味や香りの違いにこだわられる方が沢山いらっしゃいます。お茶も今後、そのような人達に支持されるような飲み物になると考えております。私たちは今後、早急にお茶の生産者さんやご協力頂ける皆さまと一緒に、これからの日本茶を考え、新しい日本茶のあり方、新しい歴史をつくり始めなければならないと考えております」

お茶ができてから味わうまで、すべてをこの空間で

今回空間デザインを手掛けたのは、インテリア・プロダクトデザイナー高須学さんと、インテリアデザイナー手島紗夜さんのユニットによるデザイン事務所『TGD』のお二人。
お店に“リーフセラー”をしつらえるという斬新なアイデアはどのように生まれ、どういった点にこだわられたのか、お話を伺いました。

高須さん:「お茶を買うだけでなく、お茶が出来る過程から味わうまでのお茶のすべてをこの空間で体験していただく、ということにこだわりました。製茶工場としての茶葉の“品質管理”、焙煎やブレンドを独自に行い販売する茶舗としての“商品管理”。この2つの軸を結びつけた『製茶所』という新しいブランドのシンボルとして、『リーフセラー』、『製茶室』、『点前スペース』を併設しました。
『製茶室』では茶匠が独自のブレンドを施す工程が見え、その隣の『点前スペース』ではお茶の香りが漂う中、カウンターでくつろぎながらお茶匠お勧めの煎茶・お抹茶をゆっくりと味わえます。『リーフセラー』では、今まではお店側で管理していた冷蔵庫内の茶葉を、温度管理された空間の中でお客様が直接手に取って選ぶ事ができます」

手島さん:「店舗で取り扱う茶葉同様、素朴で力強い様々な天然の素材をシンプルにデザインに落とし込みました。特にリーフセラーは売り場とは趣を変え、明るさに抑揚を加えた静かな空間に仕上げました。新たな製茶所山科と共に年を重ね、侘び寂びの味わいを増していって欲しいですね」

“製茶”という言葉を広く深く伝える

ずらりとならんだ茶葉の中で、1番人気のお茶は茶匠ブレンドの「山科とろり」。日本茶の特徴であるコクと甘みが際立つよう、九州で採れる希少品種を数種類ブレンドした、日本茶の真髄を追求したお茶です。飲んだ時のイメージがわきやすい名前が付いているのも、購入時の参考になるので嬉しいポイント。すべてのパッケージには、そのお茶の特徴が書かれていて、お茶に詳しくない方でも、それらを頼りに好みの味を選べるようになっています。

同じ種類の茶葉でも生産年により味が変わることから、ワインのように茶葉の生産年がパッケージに記載されていたり、八女茶の中でもほんの少量しか採れないという白い葉のお茶「雪の雫」や、屋久島で採れる和紅茶といった珍しいお茶と出会えるのも専門店ならでは。九州7県7種類のお茶を集めたセットはギフトにもオススメです。

製茶所山科のパッケージデザイン・ロゴデザインを手掛けたのは、『なかにわデザインオフィス』の中庭日出海さん。今回のリニューアルにおいて、ブランド名の変更から提案されたそうですが、そこにはどのようなお考えがあったのでしょうか。

中庭さん:「一般的には、問屋も生産者(茶園)もひと括りに『お茶屋さん』と認識されていることが多いですよね。それぞれの役割や特徴が消費者に伝わっていないと感じ、今回ブランド名の変更から提案しました。ヒアリングを通して、問屋の行う『火入れ(焙煎)』や『合組(ブレンド)』などの製茶技術が重要で、生産者にはない問屋の特徴として打ち出せると感じたためです。
パッケージデザインにおいても、事細かな商品情報をラベルに書き入れて消費者に提示することで製茶所としてのスタンスを表現しました。商品の価格帯に合わせてパッケージを3色(黒・白・茶)に分けることで、店頭に並んだ際の統一感を出しながらも、商品の選びやすさとしても機能するデザインとなっています。製茶所山科をキッカケに“製茶”という言葉の意味がより多くの人に理解され、日本茶が国内外で再認識されるよう、今後も商品づくりや情報発信、イベントなどを一緒に企画させていただけたらと考えています」

“イチゴイチエ”の出会い

今回のリブランディングプロジェクトをディレクションされたのは、『Acht』の田中敏憲さん。山科さんとは以前『151E(いちごいちえ)※現在は閉店』という九州のお茶を集めたお店のプロジェクトで出会い、その後山科さんより山科茶舗全体のリニューアルについて相談を受けたそうです。

田中さん:「山科さんからリニューアルのお話をいただいた際、真っ先に頭に浮かんだのはTGDの高須さんと中庭デザインオフィスの中庭さんでした。この二人とチームを組むとお茶の可能性が更に広がるだろうと想像して、すぐに相談をさせて頂きました。
このプロジェクトは、約1年ほどじっくりと時間をかけ大切に大切に進めてきました。打合せの度に新しいアイデアが飛び出し、本当に濃密な時間でした。店内にはおそらく日本初のしっかりと温度管理を行う『リーフセラー』も完備し、空間とパッケージなどは言うまでもなく本当に素晴らしいものになっております。福岡市内からは少し距離がありますがここでしか味わえない空気感や発見がこのお店にはあります。素敵な出会いと新しい価値観を、ぜひお店まで足を運んで頂き体感頂けたら大変嬉しく思います」

日本茶×フランス料理


※L’eau Blanche

製茶所山科によるお茶の楽しみ方の提案は、現在ではさらに広がり、西中洲のフレンチレストラン『L’eau Blanche』とともに、食前・食中・食後に飲みたくなるこだわりのお茶を開発企画中だそうです。
フレンチと日本茶!とは意外な組み合わせに思えますが、「体に良いお茶を飲み、美味しい料理を食べ、さらに元気になる。医食同源にも通じるコラボではないでしょうか。」とは山科さん談。お茶の新しい楽しみ方を提案する、という視点から考えると、異色と思えるコラボの誕生も自然な流れかもしれませんね。

お茶の可能性を広げながら、楽しみ方を提案する製茶所山科。店舗はもちろん、店舗から飛び出したどんな活動が展開されていくのか、今後要注目です。

【製茶所山科】
www.seichajo-yamashina.com
福岡県朝倉市甘木1642
営業時間 9:00-19:00(土日祝は18:00まで)
定休日 お盆(8月15日~17日)、年末年始(1月1日~4日)
TEL 0946-22-2647
FAX 0946-22-2691

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記事を書いてくれた人

時田真理子

東京生まれ東京育ち。 2014年に福岡へIターン。デザイン事務所広報・Webメディア運営を経て、現在は文具・雑貨メーカーの広報とライター業を行う。美味しいものと映画が好き。

 

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